忘れられた食の重要性|食育とは何かを考える

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忘れられた食の重要性|食育とは何かを考える

最近よく耳にする「食育」は、明治時代の陸軍薬剤監に在籍していた「石塚左玄」という人物によって造られた言語です。

また、明治・大正時代に活躍したジャーナリスト「村井弦斎」が“小児には徳育よりも、知育よりも、体育よりも食育が先き”と連載小説に記していたことからも、当時から「食」が重要視されていたことが窺えます。

それでは、「食」を大切にしてきた日本が何故2005年に「食育基本法」を制定したのか、その目的と問題点をみていきましょう。

食育基本法を制定した背景

「食育」は体づくりのみならず、心まで栄養を行き渡らせて豊かな人間性を育む、とまで言われています。「食べる」ということは当たり前になりすぎて、その意義をも忘れてしまっているのです。

食育基本法では以下の食の循環や、忘れられてしまった食の重要性について指摘しています。

「もったいない」の精神が忘れられる

食材が安いからとまとめ買いすることで消費期限を過ぎてしまったものや、食べきれない量の食事を作ったり、外食時に注文して残したり、今ではこれらを簡単に廃棄する傾向にあります。

昔とは違い「もったいない」と思われることがなくなり、まだ食べられるものをゴミにしてしまうのです。毎日当たり前のように食べている料理は、口の中に運ばれるまで様々な人が携わってきました。

こうした自然や人々に対し「いただきます」「ごちそうさま」といった感謝の気持ちが失われ、食を大切にするという心の欠如が指摘されています。

自国での食料自給率が最低の水準

日本でも高い自給率であった米の消費量は減少しているのに対し、海外に頼っている畜産物、油脂類などの消費量が増加しています。近年は横ばいで推移してはいるものの、日本の食料自給率は先進国で最も低い位置にいるのです。

万が一、輸入に頼っている国が食糧不足になってしまうと、食料自給率の低い日本は食糧難に陥ります。

伝統ある食文化が失われつつある

害虫被害が少なく、1年を通して栽培することができる温室栽培や、成長や収穫を人工的に早めることのできる促成栽培など、作物の栽培法も便利になってきました。しかし、これによって露地栽培が減少し、“本来の旬の食材”が店頭から失われつつあります。

日本の郷土料理や行事食などは、自然に収穫された旬の食材を使うことが多く、地域によってその調理法も様々です。このままでは、伝統の食文化までもが失われる傾向にあります。

食習慣の乱れによる身体的問題点

上記で食の重要性について述べましたが、これだけではありません。ライフスタイルの多様化により、食習慣の乱れが生じているのです。この「食習慣の乱れ」が、私たちの身体的な問題へと発展しています。

朝食の欠食が仕事に支障をきたす可能性も

朝に食事をしない、栄養ドリンクや錠剤のみの補給などといった「朝食の欠食」が、20〜30代の若者に多く見られます。これは、生活スタイルが夜型になってしまったことや、食事を抜くダイエット法などが大きく関係しているでしょう。お菓子や果物、乳製品、嗜好飲料などの偏った食事も欠食に入ります。

また、毎朝しっかりご飯を食べてきている子どもは学習能力や運動能力が高いといった傾向があります。これは大人にもいえることですので、朝食の欠食は勉強や仕事の能率に響いているといっても過言ではありません。

9つの「こ食」が心身に影響をもたらす

同じものを食べ続ける「固食」は栄養バランスが悪いですし、味の濃いものしか食べない「濃食」や野菜や乳製品が不足しがちな「戸食」は、塩分や脂質を過剰摂取していることになります。これらは肥満にもつながりますし、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心筋梗塞といった生活習慣病を発症させる恐れがあるのです。

また、「とろける」「柔らかい」といった粉物を好んで食べる「粉食」は、噛むときに力が要らないため、歯並びに影響が出ます。食事量の少ない「小食」や朝食を食べないといった「虚食」は、低栄養状態に陥りやすく、無気力になったり、女性なら無月経になってしまったりと心身の発達に影響が及ぶ恐れがあるのです。

さらに、一人で食事をする「孤食」、家族で同じ食卓を囲っているのにそれぞれが好きな物を食べる「個食」は、孤独な性格が形成されやすく、また社会性・協調性が育ちにくいとも言われています。子どもだけで食べる「子食」は、好き嫌いが多くなるだけでなく、親子間のコミュニケーションがとれないことが指摘されています。

まとめ

食育は心身の成長や人格を形成するのに大きな影響が及ぶため、子どもの頃から食育が必要とされています。そのため、家庭のみならず、保育・幼稚園、学校、地域、全てが食育の推進に取り組むことが大切です。

「食べる」行為がどれほど重要なことで、どれだけの人々が「おいしいものを食べてもらいたい」と願って私たちの食生活を支えてくれているのか。飽食の時代にある今、食習慣を見つめ直す必要があります。

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