食育の現状と課題~平成29年度食育白書から①~

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食育の現状と課題~平成29年度食育白書から①~

食育白書とは、その年度に行われた食育推進施策について農林水産省によって毎年まとめられ、国会に提出される報告書です。平成29年度の食育白書では、第三次食育推進基本計画に掲げられた5つの重点課題の1つである「多様な暮らしに対応した食育の推進」についてクローズアップされています。今回は食育白書にて報告されている「多様な暮らしに対応した食育の推進」のうち「共食」についての現状や実践事例を詳しくご紹介していきたいと思います。

朝食又は夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数

第三次食育推進基本計画では、2020年度までに朝食又は夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数を週11回以上とすることを目標としています。
【現状】
・すべての年代において9割が「家族と一緒に食事をすることは重要である」と認識しています。
・共食の良い点として「家族とのコミュニケーションが図れる」、「楽しく食べることができる」といった回答が多く挙げられました。
・20~50代の3割強が家族との共食が難しい状況であると回答しています。理由としては自分や家族の仕事が忙しいためという回答が最も多く挙げられています。
・特に、30~40代の男性において長時間労働者である割合が高いという結果がみられました。
【課題】
・生産世代の仕事と生活の調和(ワークライフバランス)の充実を社会全体で推進する必要があるという課題が示されました。

企業におけるワークライフバランス充実の取り組み

ワークライフバランスの充実という課題に先駆け、西武鉄道では平成23年からすでに実践されている取り組みがあります。現在ではその取り組みは社内に定着しており、社員のワークライフバランスの充実に大きく寄与しているということです。
【実践事例】
・西武鉄道「ゆう活」制度
西武鉄道では、平成23年に試験的にサマータイム制度を実施しました。夏季の始業時間を1時間早めた結果、節電効果のみならず、時間外労働が前年比で25%削減しました。この「ゆう活」実施の結果、社員からは「朝型生活になり、健康改善につながった」という声や「帰宅時間が早くなったことで、家族と一緒に食事をとる機会が増えた」「家族とのコミュニケーションが深まった」などという声が多く寄せられているそうです。

共食回数を増やすためには

上記の結果からも分かるように、特に子育て世代の家庭においては、子供たちの食育の一環として家族そろっての共食の機会を多く持つことが望まれるものの、親は仕事が最も忙しい生産世代真っただ中の年代であることが多いため、重要性はわかっていても、実際は理想通りにはいかないというジレンマを抱えている家庭も多いのが現状ではないかと思われます。また、仕事以外でもやむを得ない家庭の事情がある場合も考えられます。そのようなことも考慮した上で、ただ理論的な面だけで「共食は良い、孤食は悪い」と線引きしてしまうのではなく、「共食するのが難しい」というその背景にある現状や改善すべき点を把握した上で、「共食回数週11回以上」という食育推進基本法の目標に近づくために、今後の「共食」のとらえ方やあり方を改めて考えていく必要があるのではないでしょうか。

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