
第三次食育推進計画において、食育推進にあたる重要課題の1つとして「食品廃棄(フードロス)」が挙げられています。その取り組みとして、国や地方自治体が展開している施策以外にも、民間企業が関わって展開されているフードロス削減活動も広がりつつあります。今回は、民間企業などによる「フードロス・チャレンジ・プロジェクト」という取り組みについてご紹介していきたいと思います。
フードロス・チャレンジ・プロジェクトとは
ハウス食品グループと特定非営利法人ハンガー・フリー・ワールド、博報堂は、子供たちへの食育とフードロス削減を目的とし、「フードロス・チャレンジ・プロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトでは、フードロスの現状やなぜこのような問題が発生しているのかを子供たちに分かりやすく伝えること、日々の「食」に対する感謝の気持ちを育むことを目的とした食育プログラムを開発しました。
もったいない鬼ごっこ
フードロス・チャレンジ・プロジェクトにより開発された食育プログラム「もったいない鬼ごっこ」は、小学生位の子供たちが、フードロスの問題を学び、体感できる食育ゲームです。サブタイトルが「食べものになって、旅をして、フードロスを学ぼう」というもので、生産から消費までの現場を巡りながら、現場ごとに発生するフードロスを学ぶというプログラムです。概要は次の通りです。
【概要】
・フードロスに関するレクチャーと体を動かすセッション(鬼ごっこ)を繰り返しながら、フードロスについて学ぶ。
・鬼ごっこでは、参加者が「食材」になり、「フードロス鬼」から逃げる。
・単に逃げる、追いかけるというのではなく、食材は「生産」「加工」「流通」「消費」というフードロスの各現場を通過しなければならない。
・現場ごとにレクチャーを実施することで、よりフードロスの現状を理解できるようにする。
・レクチャーで学んだ内容に準じて、ハンデが発生する。
(例:生産の現場…「形の悪い規格外のニンジンは捨てられてしまう可能性が高い」というレクチャーから、その後の鬼ごっこでは形の悪いニンジン役の参加者は「片足けんけんで鬼から逃げなければならない」というハンデを背負って参加する。)
・鬼に捕まらず、無事に消費の現場に到達できればゴールとなる。
・鬼ごっこ終了後、最後に全体で内容を振り返り、学年に応じた方法でまとめをする。
(例:低学年から中学年…子供たち同士での話し合いや感想の発表など、高学年…なぜフードロスは発生するのか、このままフードロスが続いたらどうなるか、フードロスをなくすために自分や家族に何ができるか、もし、自分が総理大臣になったらどんなことができると思うかなど、より深く考えるような問いかけなど)
プログラムは無償で貸し出し
このプログラムは、より活動を広めるため、教育機関や非営利団体などに無償で貸し出しされています。プログラムを実施するには、鬼ごっこが安全にできるようなスペースがあることが前提です。プログラムは約45分(小学校の授業1コマ)で、20~40人(約1クラス)で実施することができます。
特に子供における食育は、楽しく学ぶということが重要なポイントです。この食育プログラムは、身近な問題である割にその認識が低いフードロスの問題について、子供たちが学び、考え、意識するようになることで、将来的なフードロスの改善につながる一助となるものと思われます。