
食育において、栄養バランスは非常に重要な位置を占めます。なぜなら、食べるという行為は、常に栄養価と栄養素の2つのバランスを考えなければなりません。栄養価とは、食物から摂取するカロリーのことです。栄養素とは、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・カルシウムなどを示します。例えば、カルシウムという栄養素は、小学生であると1日600mgですが、牛乳で摂取すると1日に600‐800mlを飲まなくてはなりません。これでは、栄養素は足りても、栄養価(カロリー)の取りすぎです。ビールを中ジョッキーで一杯飲んだとすると200カロリーという栄養価(カロリー)はありますが、栄養素はほとんどありません。また、家族内でも年齢、性別によって栄養素も栄養価も摂取量は変わってきます。
食事バランス
食事のバランスを、国民一人一人が理解できるようにわかりやすく「コマ」の図を用いて説明したのが、「食事バランスガイド」です。「食事バランスガイド」は、望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を分かりやすくイラストで示したものです。厚生労働省と農林水産省の共同により平成17年6月に策定されました。
食事バランスとは
一日分の栄養価(必要エネルギー)を五つに分類して、それぞれ目安となる料理とその分量が示されています。それぞれを紹介します。
① 主食:主に炭水化物の供給源となるごはん、パン、麺、パスタなどを主材料とする料理がこの分類に含まれます。量的には、5-7svを摂取することが良いとされています。ごはんであれば、中盛で4杯程度です。
② 副菜:主にビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源となる野菜、いも、豆類(大豆類を除く)、きのこ、海藻などを主材料とする料理がこの分類に含まれます。量的には、5-6svを摂取することが良いとされています。野菜料理であるなら5皿程度です。
③ 主菜:タンパク質の供給源となる肉、魚、卵、大豆および大豆製品などを主原料とする料理です。量的には、3-5svを摂取するこが良いとされています。肉、魚、卵、大豆料理から3皿程度です。
④ 牛乳、乳製品:主にカルシウムの供給源である牛乳、ヨーグルト、チーズが含まれます。量的には、2svを摂取することが良いとされています。牛乳であるなら1本です。
⑤ 果物:主に、ビタミンCやカリウムなどの供給源であるりんご、みかんなどの果物およびすいか、イチゴなどの果実的な野菜が含まれます。量的には、2svを摂取することが良いとされています。みかんであるなら2個です。
さらに、食事バランスの大切な要素として「水とお茶」「運動」「菓子・嗜好品」が挙げられています。
「水とお茶」:からだに欠かせない水分は、コマの軸として示されており、どの分離の中でも、十分量とることが強調されています。
「運動」:コマが回転することは、「運動する」ことと表現しています。適度な運動は、食事バランスに欠かせない要因です。
「菓子・嗜好品」:食生活の中での楽しみとして、「菓子・嗜好品」は捉えられており、食事全体の中で適度にとる必要があるとされています。
食事バランスを使用する食育活動例
小学生対象の「朝食」をテーマとした授業の中で、「食事バランス」のコマを教材として使用している例を紹介します。
(1) 食事栄養バランスのコマを示して、児童がその中からいくつかの食材を自由に選択する。
(2) 選択した食材の組み合わせを画面上のトレイで確認し、可能であれば料理を考える。
(3) 5つのグループの分類に従ってバランスを表示したものを確認する。
(4) スタート画面に戻って繰り返し操作をする。
児童が選んだ朝食の栄養バランスを、料理の配置や色別の表示により視覚的に確認し評価できることが第一の特徴です。さらに、繰り返しの操作が可能であることから、望ましい朝食を考えることができるようになることを期待しています。
注:svとはサービングあるいは「つ」と呼ばれ、食事バランスガイドのコマに示されている料理の一つを示す単位です。