
アレルギーの現状
近年、アレルギー患者は増加傾向にあります。今から50年前には日本では「アレルギー」は、ほとんどありませんでしたが、現在では国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持っているといわれています。欧米や我が国日本などの先進国で非常に大きな問題となっており、工業化・文明化と「アレルギー」は密接に関係があるようです。アレルギーは年齢により症状が異なるかたちで現れることが多く、そのような現象は「アレルギーマーチ」といわれています。
食物アレルギーは、アレルギーマーチのうち最初に認められ、アトピー性皮膚炎を伴った形で発症してくるケースがほとんどです。わが国では食物アレルギーは以前からありましたが、最近15年ぐらいの間に急増しています。食物アレルギーは1才未満の乳児で最も多く発症しますが、厚生労働省の調査によると小児から成人まで幅広く認められています。最近では様々な食品にアレルギーが認められようになってきたのも特徴で、以前ではみられなかった果物・野菜・芋類などによる食物アレルギーの報告もされています。
三大アレルゲンとアレルギー症状
乳幼児の食物アレルギーの約70パーセントは、鶏卵と牛乳と小麦が原因です。この3大アレルゲン食品についてよく理解しておきましょう。体の中にアレルギーの原因となる物質「アレルゲン」が入ると、それを排除しようとして、免疫細胞の指令によって「IgE抗体」という物質(免疫グロブリンというたんぱく質の一種)が血液中に作られます。
「IgE抗体」は皮膚や粘膜(目、鼻、腸、気管支など)に存在する「マスト細胞」とくっついた状態でアレルゲン侵入に備えます。アレルゲンが体内に入るとIgE抗体がこれをとらえ、同時にマスト細胞からヒスタミン、ロイコトリエンなどの物質が放出されます。これが、かゆみや鼻づまり、息苦しさ、炎症などさまざまなアレルギー症状をおこさせるもとになります。
食事でアレルギーをなおす
農林水産省とタイアップしているある映画があります。「いただきます みそをつくるこどもたち」という映画です。この映画では、食事からのアレルギー改善の内容がつまっています。
福岡市の高取保育園、そこには、まるでタイムトリップしたような懐かしい日本の子育てがあります。素足で駆け回り、竹馬で遊ぶ。真冬でも、薄着、素足で風邪を引かないのです。そして、自分たちが飲むみそ汁のみそを毎月100キロづつ仕込みます。給食は、医食同源に基づいた、玄米、みそ汁、旬の惣菜です。和食が苦手だと思われている現代の子達ですが、ここでは毎日完食です。
高取保育園は、増え続けるアレルギー園児の解決策を「食」に探り、アレルギー、アトピーの園児の症状を改善しています。アレルギーの子どもを持つ親は必見の映画です。この「高取保育術」に、日本中から教育視察が絶えません。よく食べ、よく遊ぶ、元気な子育て、そして食事でアレルギーを治すというヒントがたくさん詰まっています。
発酵学の第一人者である小泉武夫 東京農業大学名誉教授の知見や、予防医学医 奥田昌子の最新の遺伝子研究の成果から、先人たちの食の英知「食養生」を、「現代人のための健康法」として浮かび上がらせます。
このような実例をもとに、食の欧米化、そしてストレス社会にともない、私達はアレルギーを多く発症してしまっています。それを改善する為にはやはり食の力が大きく、古くから「和食」で体をつくってきた日本人にとっては和食は見直すべきものであります。
このような事からも食育に関心をもつ事が大切です。病気は薬でなおしますが、健康は食事でしか作れません。アレルギーもまた同じです。ビタミンが豊富な玄米を取り入れてみたり、体にいい味噌を取り入れたり、旬の野菜をたくさんとったり、受け継がれている日本の伝統も大切に、食事にとりいれていきましょう。