
◇郷土料理とは?
郷土料理とは地元でとれる食材を使い独自の調理法で作られたその土地ならではの料理のことです。日本全国には昔から受け継がれてきた郷土料理が数多く見られます。
日本は南北に長い国土のため北と南では育つ作物や獲れる海産物に大きな違いがあります。また山間部と海辺でも手に入る食材が異なります。現代では日本全国・世界各国の食材が手に入りますが、昔は冷蔵庫などもなく物の行き来もあまりなかったためその土地で獲れるものを工夫して食べてきました。そのため地方ごとに特色のある料理が多数生まれました。
普段当たり前に食べているものも実は郷土料理だった!ということもあるかもしれません。郷土料理を知ることで地元の名産品や歴史を知ることが出来るので食育のテーマにもおすすめです。
◇郷土料理≠ご当地グルメ
最近コンテストなども多く開催され人気のあるご当地グルメと伝統的な郷土料理を混同しがちですが本来は全くの別物です。
ご当地グルメも地域に根付いている料理で特産品を使ったメニューが多いですが、郷土料理と比べると歴史が浅いものがほとんどです。郷土料理は地域の伝統的な食文化として受け継がれているもので、ご当地グルメは地域振興の手段として使われるものと考えると良いでしょう。
どちらが良い・悪いということではなく、どちらも大切にしたい日本の食文化です。
◇代表的な郷土料理をご紹介
全国津々浦々、郷土料理は数えきれないほどたくさん存在しています。最近では学校給食などでも郷土料理に触れる機会があり少しずつ認知度が高まっているものありますが、まだまだ狭い地域でのみ食べられている料理も多いようです。すっかり全国区となった郷土料理からちょっと変わった郷土料理までいくつかご紹介します。
・北海道…いかめし、ちゃんちゃん焼き、石狩汁、いももち
・秋田…きりたんぽ鍋、稲庭うどん、いぶりがっこ
・東京…柳川鍋、べったら漬け、深川めし
・石川…治部煮、かぶら寿司、フグの卵巣の糠漬け
・長野…おやき、野沢菜漬け、イナゴの佃煮
・愛知…ひつまぶし、味噌煮込みうどん、五平餅
・京都…千枚漬け、西京漬け
・三重…伊勢うどん、てこね寿司、めはり寿司
・香川…讃岐うどん、あん餅雑炊、しょうゆ豆
・福岡…がめ煮、だご汁
・沖縄…ゴーヤチャンプル、ヤギ汁、ソーキソバ
郷土料理は野菜や魚が日持ちするように漬けものにする(発酵させる)例が日本各地で見られます。私たちの食卓に今でも漬物が並ぶのは先人たちから受け継いでいる遺伝子のせいかもしれません。もっと掘り下げて調べていくとその土地ならではの食材や調味料が見えてきて新たな発見があるかもしれません。
◇食生活の変化と郷土料理の衰退
大切にしたい食文化のひとつである郷土料理ですが、食生活の変化の中で受け継ぐ人が減ってしまっているのが現状です。特に高齢化・過疎化が進んでいる地域では郷土料理が途絶えてしまう可能性があります。
その理由として挙げられるのが技術の進歩です。昔は食品を保存するのに十分な設備がなく塩漬けや糠漬けなどにして保存性を高める必要がありましたが、現代の日本では冷蔵庫が各家庭に普及していてその必要はありません。
さらにほとんどの食材が手軽に手に入るようになったのも一因と言えます。スーパーやコンビニでいつでも新鮮な食材を買うことが出来るため、作る料理に制限がなくなりました。
親から子へと教えられてきた郷土料理は自分のルーツともいえる大切な存在です。単純に時代に合っていないという理由だけで衰退させてしまうのはとてももったいないと感じます。自分の住む地域の郷土料理を一つだけでも知っていてほしいものです。
◇郷土料理を大切にしたい理由
郷土料理とはただ昔からある料理なのではなく、先祖たちがその土地を開拓し発展させてきた歴史が詰まっているものです。日本の食文化の基礎と言っても良い程大切なものと言えるでしょう。現代は日本だけでなく世界中から文化が入ってきて、とてつもないスピードで変化している時代です。郷土料理も少しずつ形を変えながらも次の世代へ伝えていってもらいたいと考えます。