食育とは、正しい食を選択する力を身に着ける事に繋がります。特にこれからの未来を担う子どもにとって食育を推進する事は大切であり、毎日の食事や生活に食に関心を持たせるように大人が働きかける事が大切と言えます。
映画は、大人も子供も楽しめるツールです。学校でも食育に関する映画を授業で取り入れているところも多く、食について考えるきっかけになります。積極的に取り入れ、子どもが食に向き合う時間をつくりましょう。
今回は子どもと見たい食育映画を3つご紹介します。
「いただきます みそをつくるこどもたち」
農林水産省がタイアップしている作品です。映画 「はなちゃんのみそ汁」のモデルとなったはなちゃんが5年間通った、食育保育園で知られる、 福岡市高取保育園をはなちゃんの父親である安武信吾氏がプロデュース、太田敏氏が監督・撮影をしたドキュメント映画です。
この映画は、「食育」という概念がなかった時代から独自の試行錯誤を重ね、玄米とみそ汁、納豆、季節の野菜という給食を実践する高取保育園を舞台に、園児たちによるみそづくりや、漬物・梅干づくり、食事の用意などを通じて「食がいのちを作ること」を学んでいく様子が撮影されています。玄米、みそ汁の伝統的な和食で育っていくこどもたちの様子を通じ、映画全体を通して「食べること」、「自分でつくること」の大切さが伝わってきます。
またこの食事によりアトピーやアレルギーが改善したという事で、全国各地から様々な人が視察に訪れています。古き良き日本の和食を、食事に取り入れたくなります。
1990年7月から1993年3月の2年半にわたり新任教師の黒田恭史氏が、大阪府北部山間僻地に出来たニュータウン「北大阪ネオポリス」の造成によりサラリーマン世帯が増加したことをきっかけに、大阪・豊能町立東能勢小学校で実際に900日間にかけて行った授業を基にしています。
おすすめの理由のひとつが、劇中の子供たちのディベートのシーンで、子役たちは与えられたセリフではなく自分で考えた言葉で話しているという事です。
台本にはスタッフ・大人の俳優が使う大人用と子役が使う子供用の2種類が用意され、大人用には結末までが書かれていますが、子供用にはせりふも結末も何も書かれていない白紙のものしか用意されておらず、監督である前田哲によると、子供たちには演技ではなく素直な気持ちでありままの姿で議論して自分たちで答えを見つけてほしいとの思いから台本を配らなかったとのことです。実際に子どもたちは撮影前に、食肉センターや養豚場を見学したりして、オーディションから180日間、ブタを飼育したりしています。
子ども達の素直な意見を聞いていると、「自分ならどうするか」という事をとても考えさせられます。子どもにも、「あなたならそうする?」という事を聞いてみましょう。正解はないのかもしれません。とても難しい問題です。しかし、食について考えるとてもいいきっかけになる映画です。
奇跡のリンゴ
絶対に不可能と言われた無農薬りんごの栽培に成功し、“奇跡のリンゴ”として大きな話題を集めた青森のリンゴ農家・木村秋則の実話の映画化です。
主人公の三上秋則はリンゴ農家・木村家の一人娘・美栄子と結婚して木村家に婿養子入り、サラリーマンを辞め、美栄子と共にリンゴ栽培にいそしんでいたが、ある日、美栄子の体に異変が生じます。美栄子の体は年に十数回もリンゴの樹に散布する農薬に蝕まれていたのです。
秋則は美栄子のために無農薬によるリンゴ栽培を決意するが、それは当時、絶対に不可能な栽培方法と言われていました。秋則は美栄子の父・征治の支援を受けて無農薬栽培に挑戦するが、案の定、何度も失敗を重ね、借金ばかりが膨らんでいきます。次第に周囲の農家からも孤立していき、妻や娘たちにも苦労をかけてしまいます。
10年の歳月がたっても成果が実ることはなく、窮地に追い込まれた秋則はついに自殺を決意、1人で山に向かいます。すると、彼はそこで自生した1本のくるみの樹を発見、樹木は枯れることなく、また害虫も発生していなかったのです。秋則はその樹を見て、これはりんごの木でも同じことが考えられるのではないかと思いますが、これが奇跡の大逆転の糸口となるのです。
とても感動するストーリーで、農薬についても考えさせられます。食がどのように食事になるまでの時間を過ごしているのかがわかり、感謝の心を築くことでしょう。
他にも食育を題材にした映画は数多くあります。子どもと一緒に見て、感想を聞いてあげましょう。食に関心を持つ心を作ります。